今回は転売ヤーという働き方について解説をしていきます。
転売ヤーというと、正直、世間の印象はあまり良くありません。
転売ヤーが買い占めることで本当に欲しい人のもとに商品が届かないという批判をよく耳にします。
ただ一方で、規約で定められていない商品であれば、転売は法律違反はもちろん、規約違反にもならないのが事実です。
今回はそんな賛否両論ある転売ヤーについて、詳しく掘り下げてみました。
転売ヤーがどんな商品を転売の対象としているのか、転売を行うことに問題はないのか、実際に稼ぐことはできるのか、などについて解説していきます。
もし転売ヤーとして稼ぐことに興味があるなら、1度目を通してみてください。
転売ヤーとは?
転売ヤーとは、人気アイドルのライブチケットや限定販売の商品などを買い占め、販売主よりも高い価格で売って利益を得る人のことをいいます。
ライブチケットなど数が限られているものはプレ値が付くため、ネットオークションを通じて売れば、販売主がつけた価格よりも高い価格になることが多いです。
それこそ、場合によっては数十倍になることもあります。
この価格差に注目して転売を繰り返すことで、転売ヤーはお金を稼ぐわけですね。
一般的に、安く買って高く売るということはどこでもやっています。
スーパーやコンビニだって安く仕入れて、利益を乗せた価格で売っていますよね?
しかし、「転売ヤー」と呼ばれる人たちが扱う商品は、ライブのチケットのような数に限りがある商品です。
これを転売ヤーが買い占めるわけですから、商品が本当に欲しい人の手元にはなかなか届きにくくなります。
このように転売ヤーは、品薄なのを知ったうえで戦略的に買い占めを行っているため、世間で問題視されているわけです。
そのためやっていることの是非はともかく、転売ヤーは本当に商品が欲しい人から恨まれてしまう仕事であることは理解しておきましょう。
転売ヤーは儲かる?
結論として、転売ヤーとしてがんばれば年収1,000万円以上を目指せます。
というのも転売ヤーは、お宝商品を見つけることができれば相当高い利益率を叩き出せるからです。
稼ぐ仕組みづくりや安く依頼できる外注先を見つけることができれば、自身の手間をかけることなく年収を伸ばすこともできます。
ただそうはいっても、年収1,000万円を稼ぐのはそう簡単なことではありません。
なぜなら、転売を行う際には以下のような作業が必要であり、稼ごうと思えばどうしても労働時間が長くなってしまうからです。
- 商品のリサーチのためPCに張り付きつづける必要がある
- 朝から晩まで買い物のために移動しなければならない
- 商品登録や発送作業を行わなければならない
高単価で売れるお宝商品ばかり取り扱えればいいのですが、現実は少しずつ稼げるような安価な商品がメインです。
そのためどうしても商品数が多くなり、細かい作業が増えてしまいます。
また、仕組み作りや外注メインの転売を実現させるにも時間や経費がかかります。
年収1,000万円を稼ぐためには、それなりの労力が必要だと理解しておきましょう。
転売ヤーとせどりの違い
中には「転売ヤー=せどり」だとイメージしている方も多いですが、実際には次のような大きな違いがあります。
- せどり:安く買える仕入先を探して相場の価格で売る
- 転売:商品を買い占めて品薄になった状態で高額販売する
また、せどりの場合はレアアイテムなどを見つけて利益を稼ぐのがメインですが、転売は前述したとおり人気商品を買い占めて品薄になったタイミングを見計らって売るのが特徴です。
商品が品薄になればなるほど大きく稼げますが、少し倫理観から外れた商売になると理解しておきましょう。
転売ヤーが扱う代表的なもの3つ
転売ヤーが好んで扱う商品は、基本的に数に限りがあるものが多いです。
その方が品薄となり、高値が付きやすいからです。
具体的には以下のようなものがあります。
ライブやスポーツの試合などのチケット
ライブのチケットは、転売ヤーが好む商品の代表です。
人気アイドルグループ・嵐の例を挙げると、2018年に販売が開始された「ARASHI ANNIVERSARY TOUR 5×20」のチケットの場合、定価9000円のものがネットオークションで最高68万円という価格で販売されていたようです。
バカげた価格だと思うかもしれませんが、熱狂的な嵐のファンはそれでも買ってしまうわけですね。
こうした転売を防ぐため、最近では興行主側で顔認証システムを導入するところが増えてきました。
チケットの購入時に顔写真を登録し、入場の際にスキャナーで調べて本人と合致しないと正式なチケットが発行されない仕組みです。
さらに今は「チケット不正転売禁止法」もあるので、チケットの転売はかなり難しくなっています。
イベントで販売される限定品
イベントなどで販売される限定品は希少性が高いため、転売に向いた商品であるといえます。
たとえば東京ビッグサイトで年に2回開催されるコミックマーケット(コミケ)が分かりやすい例ですね。
コミケは個人で出店している人が多いため、出品できる商品の数には限りがあります。
さらに会場が遠くてコミケに行けないという人も多いため、人気商品を買い占めることでプレ値が付きやすいのです。
このようにコアなファンが多いイベントをたくさん見つけることができれば、転売ヤーとして稼ぐ機会は格段に増えますよ。
その他、発売時に品薄が予想されるもの全般
転売は、供給が需要に追い付いていない商品であればなんでもできる可能性があります。
要は、人気があって品薄になりそうな商品であればなんでも良いということです。
たとえば2014年に発売された「東京駅開業100周年記念Suica」は1万5000枚限定で販売されました。
入手のために徹夜することは禁止されていましたが、実際に入手した人の多くは徹夜して並んだ人でした。
このSuicaの定価は2000円ですが、ヤフオクで出品されたときの価格は5~6万円です。
1人3枚まで買うことができたので、一晩徹夜で並べば、転売で10万円くらいの利益を手にできたわけですね。
このように限定品でかつ人気が高いものであれば、なんでも転売の対象となります。
転売ヤーの主な仕入先と販路は?
転売ヤーが商品を仕入れるときに利用する仕入先は商品ごとに異なります。
イベントで販売される商品であればそのイベント会場しかありませんし、ライブのチケットであればファンクラブに入会して入手するのが基本です。
人気アイドルのチケットは抽選になるため、家族や知人の名前を借りて入会し、応募数を増やす転売ヤーもいます。
一方、販路は基本的にオークションになります。
転売ヤーが扱う商品は旬が短いものが多いので、ヤフオクを中心としたオークションサイトを利用して速攻で売りさばいてしまうのがセオリーです。
転売ヤーになるために必要なもの
転売ヤーとして稼ぐために必要なものとしては、以下のようなものが挙げられます。
資金
転売なので、基本的に商品を仕入れる資金がないと商売ができません。
より大きな利益を得たいのであれば、資金もそれだけ多く必要になります。
また、ライブチケットを入手したい場合はファンクラブに入る必要があるので、その会費についても必要ですね。
複数人の名義を使って抽選に応募するならその人数分の会費が必要になるので、結構大きな負担になります。
さらにチケットが入手できなければ会費として支払った分は赤字になるので意外とシビアです。
ネットオークションのスキル
転売ヤーにスキルは必要ないと思われがちですが、最低限ネットオークションを使いこなすスキルは必要です。
転売ヤーが出品する商品は、短時間で価格が大きく動きやすいという特徴があります。
たとえばもともと数量限定で販売されていたのに、転売ヤー対策で後から販売数が大幅に追加された場合、価格は暴落する可能性が高いです。
ネットでは情報があっという間に広がるので、一度価格が下がり始めると当初想定していた利益を得ることは難しくなってしまいます。
そのため、ネットオークションに出品したらあとは放置……というわけにはいきません。
また、購入希望者から価格交渉をされることもあります。
そのあたりを上手にやりくりし、できるだけ高く売りぬくスキルが転売ヤーには必要です。
売れるものを見つける情報収集力
転売ヤーには、品薄になるであろう商品を見つける情報収集力が必要です。
転売ヤーは品薄になったものを高値で売ることで利益をあげます。
つまり、品薄になる前にできるだけ多くの商品を定価で買い集めておく必要があるわけです。
このように人気商品を先回りして購入するためには、どの商品が転売に向いているか、どこでなら定価で購入できるか、といった情報を収集する能力が必要になります。
常にアンテナを張っておく必要があるため、転売ヤーも意外と大変な仕事です。
転売行為は法律に違反しないの?
「転売ヤー = 犯罪」というわけではありませんが、状況によっては違法になるケースもあります。
転売ヤーをするうえで関連する法律が2つあるので、正しく理解しておきましょう。
迷惑防止条例に違反する?
ダフ屋行為をした場合、迷惑防止条例の違反となる可能性があります。
ライブ会場などの入口付近で見込み客に声をかけてチケットを販売する人をダフ屋といいますが、これをネットで行っているのが転売ヤーです。
前者を「黒ダフ」、後者を「白ダフ」として区別することもあります。
ダフ屋行為は取り締まりが難しく、捕まることはあまりないようですが、やり方によってはその限りではない可能性もあるので注意が必要です。
古物営業法に違反する?
利益を得る目的で購入した中古品を売る場合、古物商の許可が必要です。
自分で使っていたものを売るだけなら許可は要りませんが、初めから転売が目的なら古物商の対象になります。
「古物」という言葉から、ある程度の使用感があるものというイメージがあるかもしれませんが、実際は1度でも取引がされてしまえば古物にあたります。
ただし、古物商の許可は所定の手続きをすれば誰でも取れるので、転売を継続して行うなら許可を取得しておけば問題ありません。
転売ヤーのメリットは?
副業として転売ヤーになるメリットは以下の3点です。
難しいスキルは不要で初心者でも稼げる
転売ヤーになるにはネットオークションのスキルが必要という説明をしましたが、ネットオークションのスキルは慣れれば身につくものであり、そう難しくはありません。
そういう意味では、転売そのものは誰にでも可能です。
とくにネットオークションを普段から利用しているなら、簡単に始めることができるでしょう。
好きな時間に仕事が出来る
会社に行くわけではないので、好きな時間に仕事ができます。
限定品を買うためには並んだりパソコンの前に貼りついたりする必要がありますが、そもそもその商品を仕入れるかどうかは自分で決めることです。
そのため転売ヤーは、好きな時間に好きなだけできる仕事だと言えるでしょう。
当たれば大きく稼げる
先述した嵐のライブチケットは、9000円で販売されたものが60万円以上の価格で売れています。
ここまで極端な例はまれですが、当たれば1つの商品で10万円以上の利益を得られることは十分あり得るため、当たったときに大きく稼ぐことができます。
仮にそういった商品を大量に抱えることができれば、1種類の商品だけででまとまったお金を手にすることができるでしょう。
転売ヤーのデメリットは?
転売ヤーにはメリットもありますが、デメリットも多くあります。
主に以下の5点です。
マネされやすく競合が多い
転売ヤーが好んで扱う商品は限られるので、転売ヤーが増えれば競争が激しくなって商品を入手することが難しくなります。
穴場の商品を見つけたとしても、すぐにマネされて競合が増えることも多いです。
そのため転売ヤーは、常に売れる商品を探すために目を光らせておかなければいけません。
在庫リスクがある
転売ヤーは自分の身銭を切って商品を仕入れるため、売れ残ったときは赤字になるリスクがあります。
とくに品薄だと思っていた商品が再販されると、一気に売れなくなってしまうケースも。
転売ヤーといえど物販なので、在庫を抱えるリスクが常にあることは理解しておきましょう。
販売主が転売対策をする可能性がある
ライブのチケットが典型的な例ですが、最近は販売主が転売対策を立てるようになっています。
そのため、今までは稼げていたものが急に稼げなくなることもあるので注意が必要です。
基本的に販売主からは歓迎されていない仕事なので、対策を立てられたらその対応方法を新たに考えなければいけません。
他人にどうやって稼いでいるのか言いづらい
友人や知人と仕事の話になったとき、堂々と自分の収入源について話しにくいというデメリットもあります。
転売によって得る高額な利益は社会から不当という認識がされており、チケットキャンプのように炎上してサービス終了に追い込まれた例もあります。
スキルを生かしてステップアップしづらい
転売ヤーの仕事はステップアップがしづらいです。
転売ヤーがすることといえば商品を仕入れてオークションで転売することくらいなので、あまりスキルが身に付きません。
一般的な商品を仕入れて販売する場合は商品探しのスキルが得られるのですが、転売ヤーの場合はそれも限定的です。
そのため、転売ヤーとして活動して得られたものを他のジャンルで活かし、ステップアップするのは難しいといえるでしょう。
まとめ:転売ヤーはリスクが高くおすすめできない
今回は転売ヤーについて解説をしてきました。
転売ヤーは商品を買い占め、定価よりも高値で販売する仕事です。
転売ヤーの買い占めによって本当に欲しい人が定価で買えなくなるため、正直世間からの印象はあまり良くありません。
また昨今はライブやイベントのチケットを不正に転売することが法律で禁止されたことで、転売ヤーは大きな収入源を失ったといえるでしょう。
もともとビジネスとしては問題があり、社会から受け入れられていないことを考えると、副業であっても本格的に行うことはおすすめできません。
ただ一方で、買い占めを行わずに転売をする「せどり」は誰でもできる副業として幅広く人気です。
店舗での仕入れが規制され、年々稼ぎにくくなりつつありますが、再現性が高く数万円程度の利益であれば多くの人が可能なので、興味のある方は詳しく調べてみてください。